デブサミ 2020 春 備忘録3:[13-E-8] チームをつくるモブプログラミング ~内側と外側から語る~

Developers Summit 2020 春を聴講してきたログ。仕事柄デジタルビジネスへの取り組み方やよいチーム開発とはという観点を重視して聴講しました。業務の都合上午後のセッション中心になってしまったのが残念なところ。

とはいえおもしろいセッションを色々聞けたので、いくつかを備忘録もかねて公開します(というか久々に書こうと思う余裕ができた最近)。

[13-E-8] チームをつくるモブプログラミング ~内側と外側から語る~

デンソー アジャイルモンスター 及部 敬雄 アジャイルコーチ 安井 力

スライド

ペアプロ・モブプロを経験した人がどれくらいいるか

  • 10~20%弱がやったことある
  • 5%くらいは常時やっている感じ

Codezinでモブプロ講座ができるらしい(その2人)、youtubeチャンネルとかPodcastもあるよ。

ここ2年くらいでペアプロ・モブプロをやった、やってみた系の声を聞くことが多くなってきた印象がある。自分もどうやってか仕事に取り入れられればと思っているのでとても参考になるセッションだった。

モブプロやるにあたって重要なこと

目的とゴールを定めること

方向性の認識合わせが大切、近距離のゴールとして今日どこまでやるというのも重要

目的は押しつけ型ではだめ、リーダーが「これでいいですか?」という形でやっても押しつけになりがち

モブプロを始める前に、「自分たちのモブプロの進め方」を表明する

どういう段取りで進んでいくのかのイメージの共有が大切(TODOリスト化するなども有効)

  • 進む方向が逸れてしまったときに気が付ける
  • 今何をやっているのかはドライバーがシャベルのがよい
  • 何をやっているのかを正しく伝えるため

議論と実験のバランスをとる

モブでの議論は大事、だけど、話すだけでなく試すことも大事

最初は 議論<<実験 くらいのバランスで進めるのが慣れやすい

その場でフィードバックを得る

フィードバックはお互いの知恵を出し合うのがよい

攻撃的にはならないように、また、後だしはしないようにする

個々人のペースとやり方で復習することも大切

Q やりかたにネガティブな反応があった場合

「まず試しにやってみて反応をみて考えてみましょう。」という風に進める案を出してみる。

外部での体験者からの声やヒトのお墨付きがあれば始めやすい

Q 個人でやりたいんだけどなヒトがいた場合

大事なのは仕事を進めるやり方を学ぶこと。

なので、個人でやるタスクがあるのは、別にそれでよい

モブプロのやり方が全体としての進捗に影響が出るよう様な制約・拘束になるのはよくない

ただ、まずやってみて「モブにあったタスク、そうでないタスクがあることを」自分の中で見つけて良いバランスで実行するのが良い

チームをブーストするモブプロとはどういうものか

知識移転

経験値の低い人を、ドライバーにするのがよい

できる人がドライバーの場合、走ると止まれない、モブプロの知識移転を狙うなら、止まれる状態を作る

モブプロは知識のジャストインタイム、聞きながら学べる、全員に同時に同じ内容を伝えることができる

全ての暗黙知形式知にできるわけではない、経験・体験に基づく振る舞いだったり、染みついた操作だったり、体験を共有することが大切

レビューの目的3分類

  • 検査
    • 品質管理
  • 学習
    • 知識、技術の転移
  • 強化 ★
    • リファクタ
    • もっとよくする

そもそもモブプロやること自体がレビューの観点も含んでいる。モブプロではチーム全員で合意がとれた状態のものとして出来上がる。忖度せずにチームのベストを目指すことができる。とはいえレビューが完全にいらなくなるわけではない。

また、知識移転を狙う場合、3分類のうち★の部分が弱くなる

リアルタイムレビューと通常のレビューの違いを認識し、うまく使い分けることが重要(( スライド56ページの表

Q レビュー中でのやりとりや発言など

全員仕事に集中しているので議論が熱くなりがち、だけどこれはよいこと

まれにケンカになることもある、ただ、建設的に前向きに進められるようになるチャンスでもある。言葉の使い方は人間的な部分でケンカにならないように気を付けることが大切。

ただし、そもそも合わない者同士がやった場合は爆発する

Q 「わからない」 が言いにくいのでは

そういう人はいる、チーム内でのスキル差がある場合は、タイミングタイミングで復習する時間をとって知識レベルの同期を取ることが重要。分かってそうな人にふってコメントをもらうというのもよい。

仕事をドライブするモブプロ

ソロワークよりも「優れた成果」を出せるのがモブプロの強み

ただし、「優れた成果」とは、旧来の、行数やコミット数などの単純な定数では測れないものを指す

そのためモブプロという取り組みは、定量的な部分を評価できないといけない。そのための文化や考え方が大切となる。

仕事をドライブする場合のモブプロは、知識移転・チームブーストとは違う(多くは逆の視点)を重視して取り組むことになる。

どちら寄りのモブで進めるかによって、重視するポイントや進め方を正しく選び認識し実践することが大切。

また、「仕事」か「チーム」かの二元論ではなく、相互のバランスをとったチームにとってよい状態で進めていくことでチームのドライブ効果が仕事の成果に直結していけるように成長できる。

スライド79ページの「パニック/学習/快適」の図 が分かりやすい。

Q モブプロって生産性高いの?無駄も多いのでは?

単純作業はモブでやるメリットはない

作業 を単純とみるか 複雑と見るか

人数が多すぎると効率は下がる、例えば 10人 は多すぎに思う。

中期的にヒト・チームの生産性が上がるのはよく見るが、短期的なメリットだけでみられると厳しい (このあたり工数主義者には適用にし難い様に感じる。何を狙うのか次第ではあるが)

モブの目的をただしく理解していただくように働きかけることが大切

Q 心理的安全を維持するには

ラーニングセッションを活用する

Q モブプロがうまくいっているチームの特徴とは

  • なによりも楽しそう
  • 全員がよく発言する
  • ドライバーをだれでもが取りに行く(わかんないけどやります)
  • マネージャーの過干渉がない(ようにうまくマネージされている)

まとめ

モブプロはチーム全体の活動である(スライドp.95の図はインテグラル理論より